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第54回脳を守る会市民健康講座が開催されました。

令和8年1月17日(土)

上田脳神経外科が主催する、市民向け健康講座「脳を守る会」が開催されました。

今回のテーマは「高次脳機能障害」です。

「見えない障害」ともいわれる高次脳機能障害は、大きな社会問題になっています。

4つの講演をもとに、高次脳機能障害についての理解を深めていただきました。

以下、講演会の内容を簡単にご紹介いたします。

講演「高次脳機能障害が見えない障害と言われる理由」

講師:上田 正之(上田脳神経外科 リハビリテーション部・主任)

高次脳機能障害者支援法が令和8年4月1日から施行されます。

高次脳機能障害はまさに今、社会問題として私たちが直面している課題です。

高次脳機能障害が「見えない障害」と言われる理由は、主に次の3つです。

① 相手から見えない … 外見からは分からない障害です。まるで障害が無いように見えることが問題です。

② 自分から見えない … 自分に問題があると判断する場所である脳が損傷しているため、自覚ができません。

③ 社会から見えない … 相手から見えず、自分でも見えない高次脳機能障害は、仕事や家庭でのトラブルにつながります。

これらの原因で、社会から孤立してしまう人が増えています。

高次脳機能障害に対する理解を、私たち全員が持つことが大切です。

脳卒中はいつ、だれにでも起こりうる病気です。自分や大切な人が当事者になったとき、どんな社会なら「自分らしく」生きられますか?

講演「脳科学から見た高次脳機能障害」

講師:上田 孝(上田脳神経外科 院長・脳神経外科医)

高次脳機能障害は、「高度な」脳機能障害ではありません。「高次な」脳機能障害です。

高次とはなにか? それは脳が働くには、一つの場所だけではなく、その周囲からの影響を受けます。

手を動かすという機能は、いつ動かすべきか、いま動かしていいのか、等の要素が含まれます。

野球で例えるなら、投手は全力でストレートを投げることが能力としてはできます。

しかし、1塁に走者がいる場合は盗塁をさせないよう、あえてコースを外すことがあります。

そういう、時や場、状況を踏まえた動きが脳の「高次な」働きです。

この部分が障害されることで、場にそぐわない動きをしてしまうことがあります。

講演「高次脳機能障害のリハビリテーション」

講師:上田 孝英(上田脳神経外科 リハビリテーション部・言語聴覚士)

「失語症」という高次脳機能障害について、実際の患者様とのリハビリ風景を含め講演されました。

失語症は、ただ言葉を話すことができない、だけではありません。

話す・聞く・読む・書く・計算する 等 様々な項目があります。

症状も一筋縄ではいきません。

ある患者さんでは、犬や猫などのカードを見ると「いぬ」「ねこ」と言えます。

しかし、「あ」や「し」などの文字になると、上手く話せなくなります。

別の患者さんでは、フリートークは少し言葉に詰まりながらも問題なくできています。

しかし、「応援」という文字をみても、言葉にすることができません。

ところが、指で文字を書くそぶりをすると、「おうえん」と読むことができるのです。

高次脳機能障害は、専門家による評価がとても大切です。何ができて、何ができないのか、それを調べることで

「自覚」「評価」「訓練」「代償」等を適切に進めていくことができます。

お困りの際は、ぜひ私たちに声をかけてください。

講演「高次脳機能障害者への社会支援」

講師:上田 雅子(上田脳神経外科 検査部・臨床検査技師)

幼少期の交通事故から、私も高次脳機能障害があります。

まわりの人が当たり前にできることが出来なかったり、ものすごく時間がかかってしまいました。

「自分はまわりの人と比べて劣っている」「バカなんじゃないか」と落ち込む日々でした。

そんな時、高次脳機能障害の家族会の人たちと出会いました。

自分と同じ経験をした人たちと出会うことで、自分だけではないという孤独感から解放されました。

誰かに相談したり、経験を共有できることに心が救われました。

ぜひ、誰かに話してください。

みんなが高次脳機能障害を知っているようになれば、当事者や家族もすごく住みやすい世の中になっている事だと思います。

「高次脳機能障害の家族会があるらしいよ」という話もぜひしてほしいです!