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第55回脳を守る会市民健康講座が開催されました。

令和8年4月18日(土)

上田脳神経外科が主催する、市民向け健康講座「脳を守る会」が開催されました。

今回のテーマは「音楽が脳に与える影響」です。

クラリネットコンサート、教育講演、特別講演の3本立てです。

とても多くの方にご来場いただきました。本当にありがとうございました。

以下、講演会の内容を簡単にご紹介いたします。

クラリネットコンサート「音楽のちから」

奏者

医療法人社団孝尋会 上田脳神経外科

臨床検査技師 上田 雅子 先生

(曲目)

1.ボレロ/ラヴェル

2.ルパン三世のテーマ/アニメ「ルパン三世」

3.奏(かなで)/スキマスイッチ

4.イエスタデイ・ワンス・モア/カーペンターズ

教育講演「看護のちから」

講師

医療法人社団孝尋会 上田脳神経外科

看護部 武田 政仁 先生

意識が低下していても、声は届いているかもしれません

意識が低下している患者さまは、外から見ると反応が少なく、「もう聞こえていないのでは」と感じることがあります。

しかし、聴覚は比較的最後まで保たれやすい感覚といわれており、声かけや音楽、ご家族のぬくもりが安心につながる可能性があります。

看護の現場では、ケアや処置の前にやさしく声をかけることを大切にしています。

また、ご家族にも、「ありがとう」「ここにいるよ」「大丈夫だよ」といった言葉を届けていただくことがあります。手を握る、背中をさする、好きだった音楽を静かに流すことも、穏やかな時間につながります。

一方で、患者さまの前で不安を強めるような言葉や、死を連想させる話題は避けることが大切です。

患者さま本人の思いと、ご家族の思いがすれ違うこともあるからこそ、私たちはその両方に寄り添いながら関わっています。

上田脳神経外科では、医療やケアだけでなく、患者さまとご家族が少しでも安心して過ごせる時間を支える看護を大切にしています。

特別講演「音楽が脳に与える影響」

講師

医療法人社団孝尋会 上田脳神経外科

院長 上田 孝 先生

音楽がもたらす「痛みの緩和」と「癒し」

〜癒しの脳内メカニズム〜

音楽を聴くと、気持ちが落ち着いたり、懐かしい記憶がよみがえったり、前向きな気持ちになったりすることがあります。

こうした変化は気分だけの問題ではなく、音楽が脳のさまざまな領域に働きかけているためだと考えられています。

耳から入った音の情報は、まず脳の側頭葉で処理されます。側頭葉は、音を理解するだけでなく、記憶や学習、言語にも関わる大切な部位です。さらに音楽は、記憶に関わる海馬、好き嫌いや情動に関わる扁桃体、意欲に関わる側坐核、意思や創造に関わる前頭連合野などにも影響を及ぼします。

つまり音楽は、単に「耳で聞くもの」ではなく、記憶・感情・やる気・意識の状態にまで関わる刺激なのです。

また、講演では、私たちが意識していない感覚情報も脳に影響を与えている可能性があることにも触れられました。

人はすべての音をはっきり自覚しているわけではありませんが、音の刺激は無意識のうちにも脳へ届き、心身の状態に作用すると考えられています。こうした働きは、安心感や落ち着き、気分の変化につながる一因といえます。

さらに重要なのは、痛みもまた脳で感じているという点です。

痛みは単なる身体の刺激ではなく、不安や緊張、記憶、感情とも深く結びついています。そのため、心が落ち着き、不安がやわらぐことで、痛みの感じ方が軽くなることがあります。音楽には、こうした脳のはたらきを通して、痛みの緩和や癒しにつながる可能性があります。

もちろん、音楽だけで病気そのものを治すことはできません。

しかし、その人に合った音楽は、気持ちを整え、苦痛を和らげ、より穏やかな時間を支える助けになりえます。